なぜ米国で開廃業率が逆転したのか

 米国で企業の開業率が低下し、廃業率を下回りました(8月5日THE WALL STREET JOURNAL)。これは、日本の企業支援機関関係者にとってもショックでした。IT革命と規制緩和が進んだ米国は、開業率が高く、経済に活気があるというのが定評だったからです。なぜ米国の開業率が廃業率を下回るレベルまで低下したのでしょうか。
 想像できるのは、米国における高齢化です。人口構造が高齢化しており、起業を志す年齢層が減っているのです。日本政策金融公庫新規開業実態調査によれば、創業者の平均年齢は約40歳です。これに基づき創業の中核層を35〜44歳と定義すると、日本ではその年齢層の人口が1985年から1995年で300万人減っています。ちょうど1990年頃から日本では開業率が廃業率を下回るレベルに低下しています。
 この考え方で米国の35〜44歳人口を見てみると、2000年から2010年で4,515万人から4,045万人へと500万人近く減っています。母数がこれだけ減れば当然、起業する数も減るでしょう。逆に高齢者層は増加していますから、廃業が増えるのも納得できます。
 米国の開廃業率の逆転が高齢化によるものだとすると、この傾向は当分続きます。米国が日本の創業支援策を見習うようになるかもしれません。