日本再生戦略の核心は起業支援

 政府は2010年6月に新成長戦略を策定し、「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の実現を目標として7つの分野(環境・エネルギー、健康、アジア、観光立国・地域活性化、科学・技術・情報通信、雇用・人材、金融)で21の施策を国家戦略プロジェクトに選定して進めてきました。しかしその後、東日本大震災円高、欧州財政危機により我が国が新たな危機に直面したことから、戦略の見直しが求められることとなりました。
 こうした背景を受けて、7月31日(火)に日本再生戦略閣議決定されました。グリーン(エネルギー・環境)、ライフ(健康)、農林漁業(6次産業化)という3つの重点分野に担い手としての中小企業を加えた4つのプロジェクト(11の成長戦略と38の重点施策)がまとめられています。工程表を含めた全資料が129ページに及ぶ大作であるため、全体像を把握することが容易ではありませんが、一言でいえば起業支援が核心になります。
 同戦略は、世界に先駆けて様々な困難に直面している我が国を「フロンティア国家」と位置付け、フロンティアを切り開き世界の模範となる全員参加型社会を築くため、「共創の国」(社会の様々な主体が力を合わせて新たな価値をつくる国)をビジョンとしています。実際に新しい価値をつくる主体は、新規開業する企業や新事業を行う企業です。そうした活動を支援していくことが最も重要な政策課題になります。
 再生戦略の名にふさわしい内容ですが、日本再生にかける情熱を伝えるには、まずその趣旨が広く理解されることが必要でしょう。