商店街は滅びてはならない

 シャッター通りと呼ばれるようになった多くの商店街。そうした商店街を蘇らせるにはどうしたらよいのか。小企業支援者はみな頭を悩ませていますが、その難問を解くヒントを与えてくれる著作が話題になっています。新雅史著『商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道』(光文社新書)です。
 この著作では、商店街を構成する零細小売商が、規制頼み・家族頼みで自己改革を行わないまま、大手スーパーやコンビニといったライバル業態との競合に敗れ、商店街が衰退していくさまが、戦後の政治経済史を追いながら滔々と語られていきます。
 商店街は戦後に形成された新しい存在だったという指摘には、誰もが目から鱗が落ちるでしょう。農村から都市へと流れた人々の雇用の受け皿として機能したのが零細小売商であり、それらを存続させるために発明された装置が商店街でした。しかし、商店街の中の零細小売商のほとんどが専門性をもたず、家族頼みの経営でした。規制に守られることを選び、自己改革を怠った結果、少子高齢化規制緩和という時代の変化に呑み込まれて淘汰の洗礼を受け、現在の惨状を招いたのです。
 本書は、商店街を再生する道として、協同組合やソーシャルビジネスに営業権を与えることを提案しています。ナイーブな主張だと思いますが、地域のコミュニティを担う存在として商店街は必要という著者の考えには賛成です。
 地域の人と人とが結びつく場として機能する商店街。そうした元気な商店街に生まれ変わるには、零細小売商の真摯な自己改革が必要なのだと思います。