『鬼滅の刃』で気づく小企業の意義

 今、社会現象を引き起こしている映画『鬼滅の刃』の国内での興行収入が史上初の400億円突破(全世界では517億円)と5月24日に発表されました。この物語のすばらしさは、人類が直面するコロナ禍にあって、あらためて家族の大切さ、仲間の大切さ、先祖から引き継がれたものの大切さを思い出させてくれることだと思います。家族、仲間を繋ぐヨコの人間関係、祖先から自分へと繋がるタテの人間関係、そうした人間関係が「人の想い」として表象され、人類の平和を願う心へと昇華されていく過程が描かれたすばらしい作品です。

 近年に類を見ないほど人間関係のすばらしさを描き出した『鬼滅の刃』ですが、そこには小企業のすばらしさを示唆する要素も潜んでいると思います。小企業は、人と人を結び付けて価値を生み出す最小単位です。人間関係から価値を生む最小の単位です。すべての価値は小企業から生まれます。大企業は、その価値をまとめて効率的に流通させているだけの存在です。価値を生み出す主体は小企業なのです。

 「生まれた時は誰もが弱い赤子だ。誰かに助けてもらわなきゃ生きられない。…強い者は弱い者を助け守る。そして弱い者は強くなり、また自分より弱い者を助け守る。これが自然の摂理だ」は『鬼滅の刃』屈指の名セリフですが、小企業が活発に活動して経済を強くするプロセスを言い表してもいます。世の中は大企業だけで成り立っているのではない、小企業のがんばりで支えられているのだと思います。