起業家教育は小学校から

 我が国の開業率は、90年を境にして廃業率を下回るようになっています。創業が低調な状態が長く続いているわけですが、これが経済を低迷させる原因になっていると危惧されています。
 創業を活性化するには、子供時代からチャレンジャー精神を育むことが重要です。先進国屈指の豊かさを実現した我が国では、放っておいてもチャレンジャー精神は育ちません。学校教育の中で教える必要があります。
 最近では、大学において起業家教育プログラムが導入される例が増えていますが、これは小学校から導入すべきだと思います。幼いころから企業経営に興味を持ち、社会の中での自分の位置付けを意識する。それがキャリアレディネス(働く心構え)を備えることにもなりますし、自立心を育てることにもなります。
 生きるとは、自分の頭で考えて最適な選択肢を選んで行い、その結果を反省して次の選択を行うことの繰り返しだと思います。ところが、今の子供たちは、良い学校を出て良い企業に勤めて可能な限り高い収入を得るのが最良の人生という画一的な価値観を教え込まれ、みんなが同一の行動原理で動きます。そのため、自分の頭で考えることが疎かになり、個性が失われる事態になっています。
 選ぶことには責任が伴いますが、今の若者は選んでいませんから責任の取り方を知りません。責任を取る局面に直面しても回避しようとします。こうしたメンタリティでは、起業の意欲が低くなるのは当然でしょう。
 バブソン大学が中心となって行っている国際的な起業活動調査(GEM調査)では、我が国の起業意欲は極端に低いという結果が出ています。
 若者の心を成熟させ、チャレンジャー精神を身につけさせるために、起業家教育は小学校から行うべきと思います。