岐阜県長期構想にみる「人口減少時代への挑戦」

 大都市圏を除いて、既に全国的に人口減少が始まっていますが、適切に対処している地域はあまり見られないようです。そんななかで「希望と誇りの持てるふるさと岐阜県を目指して〜人口減少時代への挑戦〜」という長期構想を昨年3月に発表した岐阜県は、注目すべきと思います。本編は195頁ものボリュームがありますので、時間に余裕のない方は、小峰隆夫氏(日本経済研究センター研究顧問)による解説「地域から見る人口問題―岐阜県の場合」がお勧めです。
 同構想が優れているのは、人口減少を前提にこれからの地域社会のあり方を真正面から考えているところです。そのうえで若者の県外流出の抑制、女性や高齢者の労働参加の促進を進めるための政策を提言しています。
 我が国の高度経済成長を支えていたのは戦後のベビーブームを背景にした急速な人口増加でした。それが反転して減少するということは、かつてのような力強い経済成長はもはや望めないということです。これからは全員参加型のサステナブル(持続可能)経済を目指す方向へパラダイムチェンジしなければなりません。この方向性を明確に打ち出した岐阜県には、期待したいと思います。