生産性向上の議論は需要創出を目的とすべき

 人口が減少し、労働力人口も減少するので、これからは生産性を高めなければならないという議論がよくなされます。しかし、この議論は供給側に偏っており、ミスリードしています。重要なのは、供給力の向上よりも需要の創出を考えることです。需要が減少しているなかで供給力を向上させれば、デフレがますます進みます。
 経済学で議論される生産性の決定要因は、資本と労働と技術であり、生産性の向上をもたらす大きな要因は技術進歩であると教科書には書かれています。しかし実証の分野では、労働や資本の稼働率や規模の経済性が、生産性の計測結果に大きく影響していることが報告されています。技術革新として語られるものも、生産要素の新結合であるとは言われますが、その内容は曖昧です。むしろ新技術が新しい需要を生み出している点に注目すべきでしょう。
 携帯電話のiモードは、携帯電話に電子メール機能を結合することで、メール需要を爆発的に創出しました。モノづくり王国東海においても、新規需要を創出する方向で技術革新が模索されるべきでしょう。