SDGs未来都市から組子建具の技術を発信する小企業

 SDGs未来都市に選定された岡山県真庭市に、伝統的な組子細工の技法で建具を作り、全国に知られる小企業があります。高速道路も走行できる「木製スーパーカー」を2007年に製作し、その技術力を全国に名を広めた(株)佐田建美です。社長は、自身も建具職人で、11人の職員をたばねる佐田時信さんです(日本政策金融公庫総合研究所『調査月報』No.178 P32-33「独創的な手法で真庭組子を全国へ」)。

 釘やねじを使わずに木材を組み合わせて製品を作る組子細工で建具を作る会社は、岡山県内には同社だけです。同社の技術力は全国の関係者に広く知られています。2022年の「全国建具展示会」に出品した、縦3.5m横6.0mの真庭組子のインテリア「百花繚乱」は、その大きさと場内最高値(2,400万円)で、来場者の目を引きました。

 同社は、コロナ禍で修学旅行の行先に困った小中学校に声をかけ、県内18校の生徒1,600人を受け入れ、真庭組子を体験してもらいました。これにより地元の小企業のすばらしさが、地域の子供たちに知れ渡りました。

 斜陽産業とみなされがちな建具業界でひときわ異彩を放つ同社の活躍は、全国の伝統工芸に携わる人たちに元気を与えてくれることでしょう。