京北に伝統工芸ビレッジを作る夢を追う木工業ベンチャー

 手工芸の技を極めたオリジナル技術「立体組子細工」を使って、豪華な建物の内壁を華麗に飾り立てるのが、京都市にある(株)村山木工です(関西広域連合HP『スモールビジネスの情報発信』)。施工例にはザ・リッツカールトン東京、パレスホテル東京グランドプリンスホテル新高輪、FAUCHON L’Hotel Kyoto、GINZA SIX JOTARO SAITO、マールブランシュ京都八条口店など、そうそうたる先が並びます。

 社長の村山伸一さんは、1991年から指物職人として伝統工芸品を製作してきましたが、指物と組子の技術を合体させた「立体組子細工」を生み出し、オリジナル看板商品として売り出しました。これは、釘を使わずに木を組み付ける組子技術を使って立体的な木製パネルを作り上げたもので、ホテルなどから高級感あふれる内装を演出する目的で注文が相次ぎました。事業の拡大に対応するため、村山さんは2017年に同社を立ち上げました。

 村山さんの目標は、空港や駅のコンコースのような大空間を埋め尽くす「立体組子細工」を作ることです。そのためにブランディングと人材育成が必要だと感じています。同社が位置する京北(京都市右京区北部)に伝統工芸ビレッジを作る夢を抱いて、地元を木工業の産地にするべく、日々、努力しています。

 わが国の伝統工芸には夢があり、若者を引き付ける力があることを示す同社の取組みが、全国の木工産地に元気を与えてくれることと思います。