看護・介護用シミュレーターで訪問看護を支援する小企業

 看護・介護の人手は慢性的に不足するとともに、その人材育成も大きな課題となっています。その課題に挑戦し、看護・介護に携わる人が喀痰吸引・経管栄養注入を練習できるシミュレーター「メディトレくん」を製造販売するのが、神戸市の(株)ナースあい(2013年創業)です(関西広域連合HP『スモールビジネスの情報発信』)。

 社長の多田真寿美さんは、国立神戸病院、兵庫しあわせ訪問看護ステーションでの勤務経験を活かして、「メディトレくん」を開発し、2014年から発売しました。キャリア20年の訪問看護師がユーザー目線に立った廉価で使いやすい製品を企画し、発泡スチロール製品製造会社・理化学機器専門商社と連携して製造し、NPO法人に販促活動を委託したことで、利用が広がりました。今では全国で3,600台が稼働しています。

 創業にあたっては、神戸市の手厚い支援があり、インキュベーション施設内に事業所を設け、補助金を受け、医工連携のアドバイスをもらうことができました。

 看護・介護の現場からの声に応えて、同社は、末梢静脈注射の練習ができる「注トレくん」や、高齢者が着脱しやすい衣料「FUNAGE」も開発・販売しています。

 看護・介護の負担を軽くして、する側もされる側もともに幸せになる同社の挑戦は、これからもファンを広げていくでしょう。