体育教師がトラック野郎になり「長生きカレー」を移動販売

 国内最大の創業支援機関である日本政策金融公庫は、ホームページで特色ある創業事例を紹介しています。いずれも個性的な物語があることから、「story」と名付けて掲載しています。その中に、今年5月に新潟県上越市で創業した「健康押し売りカレー」を販売するF-TRUCK112YO(エフトラックイチイチニヨ)があります。経営するのは、元体育教師の松永喜隆さん(55歳)です。

 健康オタクの松永さんは、中学校で保健体育の教師を31年間務めて、生徒たちに「運動」「健康」「食」の大切さを教えてきましたが、地元(上越市)の健康寿命を伸ばしたい、日常の食が寿命を決めることを地元の人たちに知ってもらいたいとの思いから、起業を決意しました。

 勤務先を退職してからは、料理の専門学校で学び、飲食店で勤務経験を積み、商工会議所主催の創業塾を受講したり、新潟県よろず支援拠点からアドバイスを受けたりして、周到に起業の準備をしました。

 起こした事業は、「健康の押し売り系フードトラック」と呼ぶ緑色の移動販売車に乗って、体に効くスパイスカレー「おせっかいカレー」を市内各所で販売することです。このカレーは、地元産のスーパーフードである雑穀アマランサスと小豆や紫黒米でつくります。

 松永さんの起業にまつわる物語がメディアに取り上げられて地域の共感を呼び、「おせっかいカレー」は連日完売となっているそうです。

 地元の健康寿命を延ばしたい、自身も112歳まで生き続けたいという松永さんの物語は、これからが山場を迎えることでしょう。