ITで農業と障害者福祉を繫いで急成長(ネットアーツグループ)

 ITを使って農業と障害者福祉を繋ぐ。そんなすごい取組みをしている会社が愛知県にあるネットアーツグループです(齋藤秀一『発達障害でIT社長の僕』幻冬舎)。

 同グループを率いる齋藤秀一社長は、ご自身が発達障害グレーゾーンにあり、小さな頃から集団にとけ込めず、生きづらさを感じてきました。しかし、自分にできないことができる周囲の人たちを尊敬する気持ちをもったことで考え方が前向きに変わり、いろいろな人の助けを受けていくつもの事業を起こすことができるようになりました。

 最初は2001年に(株)ネットアーツを立ち上げ、障害者福祉事業所向け施設運営システムHUGの開発・販売を始めました。2015年には(株)まなぶを立ち上げ、放課後等デイサービスや児童発達支援サービスの提供に取り組みました。2019年には(株)ココトモファームを立ち上げ、米の栽培、米粉バウムクーヘンの製造・販売、農福連携事業に取り組みました。(株)ココトモファームでの米作では、(株)ネットアーツで培ったIT技術を活用して、圃場全体のセンシングデータに基づいたドローンによる農薬散布やセンサーによる水位監視、米の品質や低温管理貯蔵のデータ化などを行っています。

 これらのグループ企業は、障害者や障害者支援に取り組む人々の「困った」を助けるために作られました。(株)ココトモファームが行う農福連携は、農業と障害者福祉をITで繋ぐ斬新な取組みとして、内閣府SNSでも紹介されています。障害者が農業を行うことをITで支援する意欲的な取組みは、市役所や農家や障害者福祉事業所などから多くのサポーターを得ることができました。その結果、犬山市で2万6,000坪(東京ドーム1.8個分)の農地を確保でき、そこで収穫した米で製造した米粉バウムクーヘンを販売するショップは県内10店舗にまで広がっています。耕作放棄地に悩む農家と障害者の就労支援に悩む福祉施設の問題を一挙に解決するものとして、農福連携事業は高く期待され、拡大しています。

 障害者の可能性を広げる齋藤社長の挑戦は、多くの支持を受けてこれからも広がっていくことでしょう。