成功確率を格段に上げる『起業の科学』(by田所雅之)

 創業者は皆、成功する事業を立ち上げたいと考えます。ところが成功するかどうかはやってみないとわからない。だから誰もが不安を抱えながら創業する、というのがこれまでの常識でした。この常識が変わるかもしれません。それほどのインパクトに満ちた書籍が出版されました。田所雅之さん著の『起業の科学』日経BP社)です。
 日本と米国で4つの事業を立ち上げ、1,500以上の事業立ち上げを評価してきた経験を持つ著者が、成功するための起業ノウハウを惜しげもなく公開したものが本書です。本書を読むと、目から鱗が落ちたり、なるほどとうなずく点が多々あります。
 本書を貫くのは、徹底した顧客目線です。それに基づいて解決すべき課題を発見し、課題の質を高め、ソリューションを考え、人が欲しがるものを作り、事業拡大の準備を行う。これらを的確に行うためのツール(PEST分析、リーンキャンバス、エンパシーマップ、カスタマージャーニー、ジャベリンボード、KJ法、プロトタイプカンバンボード、AARRR指標、スプリントキャンバス)も豊富に盛り込まれ、具体的かつ体系的な構成となっており、まさに起業を科学しています。
 本書を真剣に読み込んで起業すれば、解決すべき課題が的確に絞り込まれ、それを解決する商品やサービスが提供されて固定客の獲得が可能となり、事業の拡大も無理なく行われるでしょう。
 本書の読者から数多くの起業家が生まれ、社会を大きく変えていく日が来ることを期待しています。