米国型起業の本質(米子市)

 1月27日、米子市米子商工会議所が主催する「IT業界の今・海外での起業に学ぶ新規事業の考え方」と題する講演会が開催されました。講師は、シリコンバレーでスマート住宅の開発に取り組む本間毅さん(HOMMA,Inc CEO)です。
 本間さんは鳥取市出身で、鳥取シリコンバレーの違いを踏まえて米国の起業の特徴を説明されました。「米国の起業家は、社会を良くしたいという気持ちで新規事業を立ち上げる」と言います。事業はこれまでになかったものばかりですから、当然、失敗もします。それでも社会を良くするためにと次々と新規事業が立ち上がる。そのどれかが成功して、社会が変わり、大きな利益が生まれる、という流れです。
 米国の起業家のモチベーションが自己実現ではなく社会変革であるという指摘は、新鮮でした。大きなスケールで社会を変えようという意思から事業を立ち上げるわけですから、革新的なものになる。それを金融で支援するとなると、投資という形を取らざるをえない。だから失敗してもその失敗は受け入れられ、次の挑戦が可能になる。社会を良い方向へ変えようとする試みなので周囲も前向きに応援する。米国社会の変化の速さは、これで説明できそうです。
 翻って日本は保守の思想が根強いかもしれません。既定路線の延長のような事業を立ち上げる傾向があり、金融支援も間接金融です。間接金融では、事業の失敗は許されません。これではベンチャーが生まれる余地は少ないでしょう。
 日本でも大きなスケールをもった起業家を投資的支援で応援して、失敗も飲み込んで挑戦を持続させる風土が必要だと思います。