『校長先生、企業を救う』(by長野雅弘)

 校長時代に4つの学校を再生し、3つの会社のV字回復に貢献した長野雅弘氏(聖徳大学附属取手聖徳女子中学校・高等学校元校長。2016年3月に退任)は、一見違うように見える学校と企業は、組織の構造からみれば同じものであり、再生の手法も同じだといいます(長野雅弘『校長先生、企業を救う』日本実業出版社)。
 長野氏が示す再生の手法は、構成員のモチベーションを上げ、PDCAを回すことに要約されます。モチベーションを上げるには褒めること、PDCAを有効に回すには、小規模なPを立ててPDCAをどんどん回すことが重要といいます。
 基本に忠実に、当たり前のことを当たり前に行うということが再生の近道というメッセージだと思います。意外とそれができない企業が多く、畑違いの長野氏に教えを請いに来てしまう。企業は同業者から学ぶことが苦手なのだそうです。
 同業者から学べない企業が割と多いという指摘は、支援機関が示すベストプラクティスがなかなか広まらないという事実と整合的です。苦境にある経営者は、冷静に他社と自社の違いを分析する目を持ってほしいと思います。