未来工業に見るこれからの中小企業経営

 岐阜県にある未来工業(株)は、人口減少時代における中小企業経営の方向性を示しています。
 同社は、1965年に設立された住宅設備資材メーカーですが、その経営方針には、大きな特徴が2つあります。従業員満足の追求と製品差別化の徹底です(創業者山田昭男氏の著作『日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり”』より)。
 従業員満足の追求は、まず労働時間の短さに表れています。残業なし、年間休日140日、年末年始は20連休などと休暇を多く取り、日本で最も労働時間が短い中小企業と言われるほどです。定年は70歳。65歳で年収は700万円になり、以後は下がらない。給料は名古屋の企業並みですが、休みを多く取ることで従業員満足を向上させています。
 製品差別化の徹底は、その品揃えに表れています。同社のスイッチボックスは他社の20倍以上もの種類を揃え、6,000万個も販売しました。「他社と同じものは作らない」をモットーに、日本初の製品を次々と繰り出して、ユーザーをがっちりつかんでいます。値下げもしません。良いものを適正価格で提供することにより、デフレ時代にあっても高い利益率を達成しています。
 人口減少で需要が縮小傾向にある今の日本で中小企業はどうやって生き残りを図るべきか。国内にとどまって営業基盤を強化することを目指すなら、未来工業の取組みは非常に重要なヒントになるでしょう。