女性起業大賞選定の決め手は経営者力

 11日に放送されたクローズアップ現代「密着!女性起業家1000万コンペ」の内容(全文とダイジェスト動画)がNHKのホームページにアップされています。これは、日本政策投資銀行が主催した女性起業家ビジネスプランコンテスト(優勝賞金1,000万円)の選考過程を追ったドキュメンタリーです。
 優勝者は、静岡の加藤百合子社長(農業支援事業)でしたが、受賞の決め手が経営者力であると番組内で審査員から語られている点がポイントだと思いました。賞の選定基準は、革新性、事業性、経営者力の3点だったのですが、最終的な判断基準は、経営者力に重きが置かれたわけです。
 審査員である経営コンサルタントは「事前資料ではこんなに高い評価はしていなかった。 実際に話を聞いて、この人やるなという感じを受けた」と語り、大学教授は「経営者としてのポテンシャルに重きを置き、ある種の落ち着きと信頼とこの方だったら学習できる」と語っています。
 ビジネスプランコンテスト一般に言えることですが、審査員は「ビジネスプランが良ければいい」とは考えずに、「それを実行する人は経営者としてどうなのか」という点を重視しています。今回の優勝者である加藤社長は、東京大学農学部卒業後、イギリスのクランフィールド大学で修士号を取得、米国ニュージャージー州の大学でNASAのプロジェクトに参加し、三共製作所R&Dグループを経て産業用機械開発の事業を始め、その後、農業に参入しています。バイタリティーにあふれながらも、よく考えて物事を進めており、その安心感が人を引き付ける魅力となって経営者の資質ありとみなされたのでしょう。
 起業の決め手も最後は人。このことは多くの人に知っていただきたいと思います。