飲食サービス業にもターゲティングと差別化が必要

 13日に発表された東京商工リサーチ「飲食業倒産動向」調査では、2012年上半期の倒産件数は、比較可能な1989年以降で過去最高を記録したそうです。飲食業の倒産件数は年々増えており、外食市場の縮小に伴って小零細規模の飲食業者が苦境に立たされていると同調査では報告しています。飲食業界の厳しい現状がうかがえる話です。
 飲食サービス業は、開廃業が最も多い業種として一般に知られています。経済センサスで愛知県の事業所新設数(2006〜2009年)のトップ3を見ると、専門料理店1,379、酒場・ビヤホール907、バー・キャバレー・ナイトクラブ865と、飲食サービス業が占めています。これら3業種は廃業数も多く、それぞれ1,972、2,160、2,060となっています。開業する数よりも廃業する数の方が圧倒的に多い状況です。少子高齢化で需要が縮小傾向にあることと、中食産業との競争激化が影響しているものと考えられます。
 事業所数で見た上記3業種の3年生存率は、専門料理店81.8%、酒場・ビヤホール76.2%、バー・キャバレー・ナイトクラブ66.9%となっています。厳しい市場環境にありながら、専門料理店が健闘していることは、経営の重要なヒントを与えてくれます。
 酒場・ビヤホールやバー・キャバレー・ナイトクラブは高齢化や家飲みが進めば当然、需要が縮んでいきますから、苦戦せざるをえません。しかし専門料理店は、ターゲットを高齢者や女性に定めて、差別化したメニューを提供することで、他業種よりも多く存続しているのです。これは、専門料理店の中でも、焼肉店(新設116、廃業274)や中華料理店(同409、同701)が苦戦する一方で、日本料理店(同357、同426)とその他の専門料理店(同497、同571)が善戦している点からもわかることでしょう。
 「新たなターゲットを明確にして差別化を徹底する」という経営の基本が飲食サービス業にも求められています。