予測不能の時代にこそ見直される小企業の価値

 戦争や紛争などの国際的な緊張、地震などの大規模な自然災害、人口爆発などによる食料危機、国内の人口減少や高齢化、財政赤字など様々な問題が世間にはあふれ、将来に不安を感じることは数知れません。そんな中で人々が生き残る希望となるのは、小企業の存在です。

 予測不能な時代を乗り切るために、環境変化に強い企業経営とはどういうものかを探求する動きが強まっており、その中で、優れた起業家の行動様式を探求するエフェクチュエーション研究がトレンドになっています。そこでの研究対象は「手持ちの資源を活用する」「損失を許容できる範囲で動く」「与えられたものを活かす」「人脈を育てる」「自分がコントロール可能な中で全力を尽くす」という基本動作です。

 エフェクチュエーション研究が注目するこれらの基本動作は、優れた小企業が日常的に行っていることです。これまでは、当たり前のことと思われて注目されてきませんでした。しかし、変化の大きい時代にあって、バランス良く環境変化に適応している小企業が、こうした基本動作を徹底していることは確かです。そこにようやくスポットライトが当たるようになりました。

 どんなに大きな環境変化があっても生き残る可能性が大きい。小企業の価値が認められる時代が来ました。元気な小企業を増やすことこそ、不安な時代に安心をもたらす大きな方策であると言えるでしょう。