PDCAよりもOODAループで評価される中小企業の現場力

 長期的に定型業務を回していく際に有効とされるPDCAサイクル(Plan計画、Do実行、Check評価、Action改善)ですが、年度計画に従うだけでは変化する状況に対応できない現在、新たな行動様式が求められています。そこで注目されているのがOODAループです(日本政策金融公庫総合研究所『調査月報』No.174 P34-39原田勉「現場力を鍛える―OODAループと暗黙知コミュニケーション―」)。

 OODA(ウーダ)ループとは、米国海兵隊で採用され、湾岸戦争などで成果を上げているマネジメント手法であり、観察(Observe)、情勢判断(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)を繰り返すものです。

 現場の信頼関係をベースにして、シックデータ(thick data。ビッグデータで捨象された暗黙知や、デジタル化されなかった形式知といった定性データ)を活用して非定型業務に迅速に対応することが、OODAループの目的です。ミッションを遂行する者は、自発性・創造性を駆使して、ミッション達成のための手段を発見し、即座に実行しなければなりません。変化する状況に臨機応変に対応するのに有効な手段です。

 米国で開発されてわが国にも輸入された手法ですが、日本の中小企業の開発の現場は、技術者が勘や経験に基づく知恵を持ち寄り、試行錯誤して無理難題に挑戦してきたわけですから、無意識のうちにOODAループを回していました。

 OODAループの流行は、中小企業の現場力を再評価するきっかけになるでしょう。