「運の良さの正体は人との縁」(by矢野和男)

 運を「人生や社会で確率的に起こる好ましい出来事」と考えると、それをもたらすのは、「自分が必要とする知識や情報や力を持っている人との出会い」であり、その運は機械で計測できると、ビッグデータ解析の専門家である矢野和男さんは言います(矢野和男データの見えざる手 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則草思社)。

 矢野さんは、ウエアラブルセンサを使って人間の活動データを大量に収集し、分析しました。その結果、「知り合いの知り合い」までつながりをたどったときに到達できる人数と定義した「到達度」を調べたところ、仕事ができる人は共通して「到達度」が高いという結果を得ました。

 仕事で成果を上げる人は縁に恵まれており、そこから良質の情報を得て、良い結果を出せる、だから運が良いということです。これは納得できる話です。災害をうまく避ける幸運な人も、家族や知人の誰かから有益な情報を得たことで避けられたのでしょうから、やはり縁に恵まれていることが、運が良いことの証拠と言えます。

 矢野さんの研究のように、運を科学的に見える化できれば、誰もが運をつかめるようになるでしょう。さらに研究が進むことを期待しています。