理系JKの「下町ロケット」(by長浜高校水族館部)

 自分たちが行ったクラゲの研究の成果を世の中の役に立てるため、クラゲ予防クリームを開発して売り出そうという夢を抱いた女子高校生たちがいました。彼女たちの夢はかない、5月から「ジェリーズガード」という商品名で売り出されることになりました。
 夢を実現したのは、愛媛県長浜高校水族館部の生徒たちです。海洋生物へのつきない愛をもった生徒たちが集まり、カクレクマノミウツボやブラックオセラリスなど150種2,000匹を飼育し、生態研究を行っています。イベントとして毎月第3土曜日には無料で一般公開も行います。ハマチの輪くぐりショーも見られ、秋篠宮ご夫妻もご覧になられました。
 水族館部には繁殖班、イベント班、研究班があります。研究班は海洋生物の生態研究で日本学生科学賞を幾度も受賞しています。カクレクマノミがイソギンチャクに刺されない要因を解明した研究では、日本学生科学賞の最高賞を受賞しました。こうした研究成果で社会貢献したいとクラゲ予防クリームが開発されました。
 生徒たちがどれほどの苦労をして開発にたどり着いたかを知るのに格好の書籍があります。小説『長浜高校 水族館部!』(令丈ヒロ子著、講談社)です。実話を基にした小説形式で水族館部の活躍が詳しく記されています。商品の知名度を上げてスポンサーを集めるために日本政策金融公庫高校生ビジネスプラン・グランプリに応募するエピソードも事実に基づいています。長浜高校準グランプリを受賞しました。同書は小中学生向けですが、大人でも楽しめます。現代の高校生はここまできたのかと驚かされ、感動します。
 学生が起業することはリスクが大きく挑戦するにはハードルが高いと思う人は多いでしょう。しかし長浜高校水族館部の活躍を目にすると、学生だからこそチャレンジできるのではないかと思います。高校生の情熱が社会を動かす力になる。そんな時代がきたように感じます。