『捨てられる銀行3』が示唆する「未来の金融」

 ベストセラーとなった『捨てられる銀行』の続々編である『捨てられる銀行3 未来の金融』が2月13日、発売されました。本書のテーマは「計測できない世界」にどう対処すべきかです。金融関係者にとっては、ゾクゾクする内容です。
 我が国の金融業は長い間、すべてを数値化した「計測できる世界」の中で生きてきました。その結果、あらゆるものは数値で表現でき、その数値が価値を表していると考えるようになりました。しかし、それが行き過ぎた成果主義を生み、企業の支援においても過去の実績のみを重視する融資姿勢を生みました。計測できない企業の経営力・技術力や未来を見なくなってしまいました。そして「捨てられる銀行」になってしまいました。未来を見ず、企業の本質を見ず、目先の儲けのみを見て営利追及に走ってしまった金融機関は、社会や顧客から捨てられる運命にありました。
 本書では、未来を見据え、企業がもつ価値を引き出そうと努力して実を結んだ例が紹介されています。ここで示されているのは、未来の金融のあり方、すなわち「創る、貸す、生かす」です。融資機会を創造し、融資を実行し、資金を生かし、企業を生かし、地域を生かす。このサイクルを回すビジネスモデルを確立できた金融機関が、我が国の未来を担うのだと主張しているのだと思います。