『凡人のための地域再生入門』(by木下斉)

 地方創生の具体的な方法論で悩む地域は多いと思います。そうした悩める人たちに光をもたらすビジネス小説が刊行されました。木下斉さんの『地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門』ダイヤモンド社)です。地域振興に20年間取り組んできた木下さんの実体験をベースに、地域おこしのポイント、気をつけるべき点、ありがちな失敗が赤裸々に述べられています。フィクションの形を取っていますが、起業支援や地域振興に関わっている方が読めば、あるあるとうなずくことが盛りだくさんです。
 序文に書かれている「実際には新たな取組みを潰そうとする地元の権力者、他人の成功を妬む住民、補助金情報だけで生活する名ばかりコンサル、手柄を横取りしようとすり寄る役人など、様々な欲望が渦巻いています」という指摘は、地方創生において地域が一枚岩になれず推進力が生まれない理由を率直に言い表しています。それを踏まえたうえでどうすればよいかを示したものが本書です。
 木下さんが強調する「いつまで待っても地元にスーパーマンは来ない」「どの地域だって、”始めること”はすぐにできる」というメッセージは、非常に重要です。地域振興は、住民が当事者意識をもって真剣に臨まなければならない、そして、勇気をもって始めて、小さな失敗に挫けずに継続することが重要だということです。
 多くの方にお読みいただき、地域振興に踏み出してほしいと思います。