『日本の経営者は奇跡的に無能』(by D・アトキンソン)

 イギリス出身で金融アナリストという経歴を持ち、現在は小西美術工藝社の社長を務めるデービット・アトキンソン氏は「日本の経営者は奇跡的に無能」であると言います(デービット・アトキンソン新・生産性立国論東洋経済新報社)。
 日本の労働者の質は世界第4位(世界経済フォーラム調べ)と高いのに、日本の生産性は先進国で最低となっている。これは優秀な人材に、レベルの低い仕事をさせていることに原因がある、とアトキンソン社長は考えています。
 人口が減少しているのに企業経営者が賃金を下げてしまったため、日本はデフレに陥り、さらなる需要減少とデフレという悪循環を引き起こしている。それは、経営者の誤った意思決定が原因であると、アトキンソン社長は分析します。
 低価格が経営戦略であると思い込んで突き進んだ日本の経営者は、自らを隘路に追い込んでしまいました。自社商品の価値を明確にして、絞り込んだターゲットに魅力を伝え、リピーターを増やしていき、ブランド化を進める。こうした経営の基本をおろそかにした経営者は反省すべきでしょう。
 「生産性向上」を合言葉に、経営者が大きく意識を変えることに期待したいと思います。