池井戸潤さんの最新作『陸王』は、傾きかけた老舗の足袋メーカーが生き残りをかけてスポーツシューズづくりに挑む感動の物語です。
埼玉県の田舎にある従業員30名ほどの足袋メーカーが、本業の行き詰まりに危機感をもちながら、生き残りの道を模索し、自社の強みを活かせる新分野への進出を試みる。そこに立ちはだかる大企業の壁。経営基盤の弱い小企業は生き残れるのか。
絵に描いたようなストーリーですが、実在するモデルがあります。小説中で描かれる小企業の資金繰りの問題も非常にリアルです。
「旧態依然とした小企業は滅びるしかないのか?」という疑問に対して、池井戸さんは「リスクは負う必要はあるが、小企業であっても自社の強みを見直し、サポーターを確保して新分野へ進出すれば活路は開ける」といったメッセージを与えてくれます。
下町ロケットは中堅企業でしたが、今度は小企業が大企業と戦う設定なので、より身近に感じられます。多くの人に読んでほしい物語です。