『競わない地方創生』(by久繁哲之介)

 「政策や解決策は真実を前提に創ると効果が出る。しかし日本の政策は建前を前提に創るから効果が出ない」と地域再生プランナーの久繁哲之介さんは言います(久繁哲之介競わない地方創生 人口急減の真実』(時事通信社))。
 IBM勤務と実家の飲食店の手伝いを同時にこなすパラレルキャリアを実践する久繁さんは地域おこしにも関わっており、大企業と小企業の強みと弱み、各地のまちおこしの良い点と悪い点をよく知っています。
 その久繁さんが指摘するのは、地方創生では差別化が大事ということです。子育て支援のモデルケースとして中小企業白書でも紹介された長野県の下條村は、近隣の自治体が同様の子育て支援策を取ったことで、人口が減少に転じました。真似されやすい政策を取ると、すぐに追いつかれ、政策が無効化してしまうということです。ビジネスの世界のレッドオーシャンと同じになるわけです。
 「弱者である地方都市は、自分が1番になれそうな価値観を探し、価値を高めて1番になり、その価値を顧客に分かるように伝えるべき」という主張は、地方創生で差別化を図るうえで重要なポイントでしょう。