小規模企業消滅?(by中小企業白書)

 ベストセラー『地方消滅』増田寛也著)は、我が国で人口減少が進み、地域が衰退の危機を迎えることに警鐘を鳴らし、地方創生ブームを起こしました。しかし、人口減少は人口の消滅を意味するわけではありません。この著書のなかでも自治体が消滅するといっているだけです。確かに「地方」が「消滅」することは現実にはないでしょう。しかし、地域を支える小企業についてはどうでしょうか。
 2016年版中小企業白書(P24〜29)では、2012〜2014年に中規模企業が全国で4.7万者増加し、小規模企業が9.1万者減少していることを指摘しています(小規模企業とは従業員5人以下、ただし製造業・建設業・運輸業等では20人以下の企業を指します)。中規模企業は開業が多かったことで増加し、小規模企業は廃業が多かったことで減少したと分析しています。全国の事業所の減少は、小規模企業の廃業が大きな原因で進んでいるのです。
 減少したとはいっても小規模企業は325.2万者ありますので、まだ多いように見えます。しかし、着実に減少していることも事実です。このままでいけば、地方には小規模企業が見当たらなくなるのではないかと心配になります。
 小規模企業の存在しない地域が暮らしやすい地域なのか。議論を深める必要があると思います。