理解されるべきビジネスの本質

 ビジネスをただ「儲けること」と捉えている人が多いようですが、これは危険です。うまくいっているビジネスに便乗して儲ければよいという考えしか生まれないからです。このため競合が激化し、供給過剰に拍車がかかり、儲けが出なくなる事態が様々な業界に広がっています。
 国税庁が発表している「税務統計から見た法人企業の実態」では、2014年度の赤字法人の割合が66.4%と高いのもそのためでしょう。この赤字割合は、2010年度の72.8%から年々低下しています。改善に向かう企業が増えている点は明るいニュースですが、赤字割合が7割近い現状は何とかしなければなりません。
 ビジネスの本質は「人と人を結び付けて価値を生み出すこと」です。この考え方に立って付加価値を高める活動を行うことがビジネスです。社会全体を豊かにしたいというビジョンをもって、新しい価値を提案していくのが起業家です。この常識が普及していない我が国では、開業率が低いのは当然かもしれません。
 新しい価値を提案する活動が行われず、人真似だけが横行する状況では、利益率は高まりません。労働生産性を高めようという議論は、新しい価値を生み出そうとする流れの中に位置づけると正しく理解されるでしょう。