まちおこしの秘訣は「奇跡の村」に学ぼう

 2015年版中小企業白書では、地域の構造変化に的確に対応した自治体として、長野県の下條村が紹介されています。下條村は、人口減少に危機感をもって対応し、徹底した行財政改革子育て支援で人口増加に転じたことで「奇跡の村」と呼ばれています。
 下條村は、人口がピーク時(1950年)の6,410人から1990年には3,859人まで減少しました。人口減少を解決しようと1992年に就任した伊藤村長が、「村民倍増計画」を掲げ、役場の職員を民間のホームセンターで働かせてコスト意識とスピードを植え付け、職員数も半減させました。さらに道路整備は、住民に資材を支給して住民自らが施工するようにしました。こうした努力で捻出した財源で、移住者のための集合住宅を建設し、高校までの医療費無料化、保育料引下げ、給食費補助等を実施した結果、人口が増加に転じました。2010年には4,202人まで人口が回復しています。
 村の再興には産業誘致よりも子育て支援が大事と判断し、強い意志をもって住民が一丸となって取り組んだ結果が「奇跡の村」という呼び名に結実しています。
 女性にとって子供を産み育てやすい環境を整備すれば、地域は甦るという模範的な事例です。