『家族はなぜうまくいかないのか』(by中島隆信)

 鳥取県県政アドバイザーの中島隆信慶應義塾大学教授が12月1日、『家族はなぜうまくいかないのか』祥伝社新書)を刊行されました。恋人、夫婦、親子、祖父母と孫といった家族関係のあり方を、経済学者が社会学、法学、心理学などの知見も動員して論じた好著です。
 一読して感じたのは、社会の構成単位である家族というものが、価値観の多様化にさらされていろいろな問題に直面しており、現代の家族関係を良好に保つには、家庭のマネージメントとでも呼ぶべきものが必要ではないかということです。
 経済学は金銭面から日本社会を豊かにしました。しかし、心の豊かさが置き去りにされたように思います。では心を豊かにするにはどうしたらよいのか。それは、良好な家族関係を築くことから始まるのではないでしょうか。そのための方法論を考えるうえで、貴重なヒントを本書は与えてくれると思います。