屋根工事業者が開発したイクメン用ベビーカー(岐阜市)

 (株)高橋製瓦は岐阜市で1954年から続く屋根工事業者です。その三代目、高橋陽一社長が異分野進出のためにベビーカーを開発しました(中日新聞社経済部編『元気のタネ がんばる東海の企業』中日新聞社)。
 開発のきっかけは、子供ができて自分も育児を始めたこと。イクメンとして、ベビーカーを押して歩きたいと思ったものの、国産のベビーカーはかわいらしいデザインで男性には使いにくい。かといって海外製品はデザインがよくてもサイズが合わない。イクメンが使うための手頃なベビーカーがないことに気づいた高橋社長は、自分がイクメン用ベビーカーを開発しようと思い立ちました。
 まったくの異分野なので開発はゼロからの出発です。市や県の助成を受け、地元で協力企業を見つけました。デザインは一宮市のデザイン会社に、フレーム製造と組み立ては海津市の金属加工会社に、シート製造は愛知県の自動車用シート製造会社に、塗装は関市の塗装会社に依頼しました。
 2年半かけて開発したベビーカーは、「キュリオ」と名付けられ、ネット直販や百貨店での販売が始まりました。「芝生の上でもすいすい進む」「アレンジが楽しい」と評判になり、72,000円からの製品が月60台も売れ、さらに売れ行きは伸びる勢いです。
 建設業の新分野進出は、どの地域でも大きな課題ですが、同社の取組みは良いヒントを与えてくれると思います。