主婦の子育てを楽しくする静岡の女性起業家

 主婦としての立場を残したまま起業して、成功する。そんな理想を果たしたのが、静岡市にある北極しろくま堂(有)園田正世さんです(園田正世『小さく始めて1億売った ママ起業 私の方法』(詳伝社))。
 園田さんの事業は、抱っこひも(スリング)を中心とした育児用品のインターネット販売です。2人目を出産した2000年から事業を始め、2004年に法人化しました。最初は、スリングの輸入販売を行っていましたが、途中から自社で製造販売するようになり、同社オリジナルのリング付きスリング「キュットミー」は、2009年に日本グッドデザイン賞を受賞しました。園田さん自身は、2005年に日本商工会議所女性起業家大賞最優秀賞を受賞しています。
 日々、涙を流すほど子育てに苦労していた時にスリングと出会って感動し、子育ての不安や不便を解消できる魔法の抱っこひもを広めたいと園田さんは起業しました。同社が販売するスリングは、使っていて疲れない、子供が大人しくなると評判を呼び、数十万人のママから支持されているそうです。
 やりたいこと、誰かの役に立ちたいことを小さく始める働き方が主婦の起業の強みだと園田さんは言います。主婦の立場を残し、大きなお金をかけずに事業を行っていることが、リスクヘッジにもなっています。起業することにそれほどプレッシャーを感じなかったというのは、重要なポイントでしょう。
 男性とは違う起業のあり方を実現した園田さん。主婦起業家のこれからが期待されます。