創業支援策を有効に機能させるには

 我が国では、低調な創業を活性化すべく、さまざまな施策が取られています。融資助成金エンジェル税制販路開拓サポート税務会計サポートと経営のあらゆる部分を支援するスキームが完備されています。それでも創業は活性化しません。
 我が国で創業を活性化するには、3つの工夫が必要です。
〔政策ターゲットの拡張〕
 高度経済成長期に創業の中核を担っていたミドル世代の男性層は今や人口が減少しています。これが創業低調の主な原因となっています。となると女性やシニアにも創業してもらえるよう門戸を広げなければなりません。しかしリスクに敏感な女性やシニアは、創業することに対しては、どうしても及び腰になります。そこで次の工夫が必要になります。
〔創業支援の意義の周知〕
 創業支援の意義について政策支援者側の言葉では、経済活性化や雇用創出に役立つからと説明されますが、これは、地域が元気になるからとか、みんなが明るく働く場が生まれるからといった、創業者側の言葉で語られる必要があるでしょう。創業が地域を元気にする、みんなが明るく働く場を作るということが広く知られれば、リスクを取って挑戦しようという人が増えるはずです。この動きを加速するのが次の工夫です。
〔創業の意義の周知〕
 創業の意義は、新しい価値を世の中に広めて人々を幸せにすることです。自分が生活していくためではありません。ここを取り違えると、アルバイトや生活保護でも生きていけるのだからわざわざ創業する必要はないという論理のボトルネックにはまります。新しい価値を広める活動は、チャレンジングです。失敗することも多いでしょう。ですが、そうした絶えざる挑戦があるからこそ、みんながやる気になり、地域が元気になるのです。ある創業が失敗したとしても、伝えようとした価値がすばらしいものなら、必ず誰かがそれを実現しようと再びチャレンジします。そうしたマインドを引き継いでいくことが重要です。
 創業とは新しい価値を広めること。この認識を常識にすることが、創業活性化の鍵であると思います。