日本の根本問題は、労働市場における女性と高齢者の低待遇

 少子高齢化の進行で我が国の人口は減少に向かい、地方では過疎化が進み、地域社会の衰退がいたるところに見られます。これは表面的には人口減少が問題であるように見えますが、それは本質ではありません。現在の人口(2021年1億2,547万人)は1995年頃と同等であり、十分な水準にあるからです。

 問題の本質は、女性と高齢者が労働市場において低く待遇され、十分な所得を得られないことにあります。雇用される女性や高齢者の多くが非正規雇用や再雇用という形を取り、職に就けない人もかなりの数に上ります。これでは国民所得は向上せず、生産性が低い状況を抜け出せません。

 我が国を復活させる処方箋は、女性や高齢者に十分な働く場を与えて、それらの層の所得を向上させることです。しかし女性は出産・育児が、高齢者は体力・健康面の衰えがあり、若中年男性のようには働けません。そこを支援する仕組みが必要です。

 1月9日に開催された高校生ビジネスプラン・グランプリ(日本政策金融公庫主催)では、神戸市の灘高等学校の1年生チームが、女性と高齢者が協力してそれぞれの所得を上げる仕組みを提案しました。灘高生が示した問題の捉え方、解決の方向性は非常に優れており、政策当局にも共有していただきたい内容でした。この模様は1月11日の毎日放送「よんちゃんTV」で報道されました。

 コロナ禍で社会経済が疲弊している今こそ、我が国が抱える問題の本質に真剣に向き合い、対応すべき時です。その努力の先に希望があると思います。