新たなトレンド!? 女性による事業承継(中小企業白書)

 事業承継は男性が行うものという常識に挑戦し、地域経済に活気をもたらすものとして、女性による事業承継が注目されています。2021年版中小企業白書(P493コラム2-3-2)では、女性の事業承継で息を吹き返した中小企業の事例が紹介されています。

 (株)センショー大阪市、メッキ加工)では、祖父、叔父の他界後、親族内に他に候補者がいなかったことから、堀内麻祐子さんが事業を承継。負債を抱えながらも、2つの工場新設、売上倍増、社員増員を実現しました。当時のメッキ業界で聞かれた「娘しかいないので跡継ぎがいない」との嘆きが「うちの娘にも継がせる」という声に変りました。

 (株)三益(東京都北区、地酒専門店)では、東海林美保さんが祖父、父に続く3代目として事業を承継。安定した勤務者生活から家業へ入る怖さや、酒の業界へ足を踏み入れる怖さもありましたが、2人の妹も手伝い、オンラインショップを立ち上げ取引を拡大。角打ちのスペースを子ども食堂として活用する地域貢献も進めています。

 (株)マスコール大阪市、工業ガス製造)では、赤字が続く中、境順子さんが父から事業を承継。取引先の要望を聞き取り、ニーズを見える化して2年後に業績をV字回復させました。チャレンジャーとして行動し、親方経営から社員とともに柔軟に意識改革をしたことが成功の秘けつだといいます。女性経営者の支援団体で様々な女性経営者とネットワークを構築しており、女性経営者の活動を拡大していきたいとのことです。

 紹介された事例は東京や大阪のものですが、こうした女性承継者の活躍が全国に広がることで、地域経済に新たな風が吹き込むことが期待されます。