コロナ禍を生き残る差別化戦略(by「業務スーパー」)

 コロナ禍での企業の生き残り策はどうあるべきか。多くの経営者が頭を悩ませています。その中でヒントとなる事例がカンブリア宮殿で紹介されました(11月12日)。(株)神戸物産兵庫県稲美町)が全国に展開する「業務スーパー」の差別化戦略です。

 同社は「製造コストを考えたスーパーなら成功する」、「ワクワク感、ドキドキ感を与えれば客から好きになってもらえる」と考え、徹底した差別化戦略を取りました。

 業界に先駆けて製販一体の営業体制を構築して製造コストを下げ、ゴボウサラダ1kg429円、フライドポテト1kg210円、やきそば1kg159円、天然酵母食パン1.8斤246円といった驚くほど安い商品を提供しています。独自開発したプライベートブランドは商品アイテム数の3割を占めます。

 商品としての独自性も追求し、「賞味期限3倍のおいしさ長持ちうどん(1袋17円)」、牛乳パック型容器に入れたカスタードプリン(1リットル267円)、豆腐型容器に入れたチーズケーキ(1.6丁375円)、直接買い付けた他では見ない輸入食材(パッタイペースト、ジャンツォンジャンなど)なども販売しています。

 1981年に兵庫県の小さな食料品店から出発した同社は、90年代にはボリュームと安さを武器にしたオリジナル商品を自社工場で開発するようになり、2000年から「業務スーパー」として、業務用商品を一般客に売り始めました。二代目社長が就任した2012年から8年で売上を倍増させていますが、足元の2020年10月期はコロナ禍の内食需要を捉えて前年比1.2倍の3,200億円に達し、今や全国に886店舗を展開しています。

 差別化戦略を徹底すると小売業はここまで伸びるという良好事例です。