『クルマを捨ててこそ地方は甦る』(by藤井聡)

 地方の衰退はクルマへの過剰依存が原因であり、クルマの利用をそこそこに抑えれば、地方は見違えるほど活性化する、と藤井聡京都大学大学院教授はいいます(藤井聡クルマを捨ててこそ地方は甦るPHP研究所)。
 皆がクルマを使うようになるクルマ社会化により、郊外化・公共交通の衰退・健康劣化が起こり、地域マネー流出・地域コミュニティの劣化・行政支出の拡大へとつながり、地域の魅力劣化・行政サービスの劣化へと至り、人口流出をもたらしている、と藤井教授は指摘します。つまり、地域の人口流出の原因はクルマ社会化であり、それを止めるには、クルマの利用の抑制が必要であるということです。
 皆がクルマの利用を抑えれば、まちの中心部に人が集まり、公共交通が活性化し、健康も向上し、地域にお金が回るようになり、地域コミュニティも元気になり、行政支出も抑制され、地域の魅力が増し、行政サービスが向上し、人口増加がもたらされるということです。
 地域の衰退をこれまで止められなかったのは、クルマ社会化を誰も止められなかったからでしょう。地方創生の取組みが待ったなしだというなら、クルマの利用を抑える取組みに真剣に向き合うべきだと思います。
 タイトルは過激ですが、内容は「賢いクルマの使い方」を丁寧に説明するものであり、多くの人にとって一読する価値のある著作だと思います。