『失敗から学ぶ』が教える顧客本位(byニッキン)

 金融機関職員の本当にあった失敗談を集めた『失敗から学ぶ バンカー70人の成長秘話』(ニッキン)が評判です。
 都市銀行地方銀行第二地方銀行、信用金庫、信用組合で支店長などの指導的立場につく職員が若手時代にどんな壁にぶつかり、それを乗り越えてきたかが赤裸々に語られています。金融業はサービス業ですから仕事のベースは人間関係になります。そこにお金が絡みます。人間関係にお金が絡めば難しいことが多々起きることは容易に想像できます。本書では、営業を中心にした70通りの失敗と立ち直り方が紹介されています。
 金融機関の方からみれば「あるある」とうなずくミスのオンパレードですが、見事なのは、そこからの立ち直り方です。どなたも失敗を真摯に受け止め、情熱をもって失敗を乗り越えていきます。金融庁が提唱している「顧客本位の業務運営」(フィデューシャリー・デューティー)に目覚めることが立ち直りの鍵のようです。
 本書を読むと、周りとの人間関係を信じてあきらめずに努力する限り、失敗は成功の糧になるのだと気づかされます。本当の失敗とは、挫折した時に未来の成功をあきらめてしまうことかもしれません。