革新を続けると伝統になる(by堀木エリ子)

 「革新を続けると伝統になる」と女性起業家の堀木エリ子さんは言います(堀木エリ子挑戦のススメディスカヴァー・トゥエンティワン)。
 我が国の伝統工芸品である和紙を、建築資材として革新した堀木さんですが、その原点は、和紙の伝統を守りたいという志でした。機械製の量産品の紙に取って代わられ、出番を失っていく和紙を、何とか後世に残したい。そのために和紙の価値を見直し、使い込むほどに味が出るという長所を活かすべく、建築資材としての活用を思いつきました。
 しかし、この発想は斬新過ぎて、現場の職人さんたちには理解してもらえませんでした。気持ちが折れそうになった堀木さんですが、原点に立ち返って考えた時「最初に和紙を始めた人だって、その時は革新だったはず。それが長い年月続いたことで伝統になったのだ」と気づきました。ここから気持ちを立て直し、和紙を使ったインテリアアートという分野を切り開き、ハノーバー国際博覧会では時速125kmで走る和紙製の二人乗り乗用車を展示して人々を驚かせました。
 「伝統と革新は相反するものではない」という堀木さんの言葉は、イノベーションが単に奇をてらうものではなく、新たな環境適応の形を示しているのだと気づかせてくれます。