米子市に眠る年間60億円以上の創生資金

 地方創生は、1988〜1989年に行われた「ふるさと創生事業」に名称が似ていますが、明らかに違う点があります。予算がさほどないことです。「ふるさと創生事業」は、地域振興の名目で各市町村に1億円を交付しました。しかし、今回の地方創生は、そんな予算がありません。地域が自主的に捻出する必要があります。どこにそんなお金があるのかと思われるかもしれませんが、実はあるところにはあります。
 2014年の統計でみると、米子市の1,000世帯当たり乗用車数は1,738台です。全国平均は1,000世帯当たり1,271台、東京都は556台(2013年の統計)となっており、米子市は地方都市の例に漏れず乗用車保有がかなり多いことがわかります。
 この乗用車保有の過剰な部分が金額でいくらあるのかを計算してみました。世帯数65,299(2015年)と保有率1.738から逆算してみると、米子市では約11万3千台の乗用車を保有していることになります。全国並みの保有率との差が過剰だとすると3万台、1世帯1台が標準と考えるなら4万8千台が過剰だということになります。乗用車の維持費は軽自動車で年間20万円程度、普通乗用車で30〜40万円程度といわれています。台数と維持費の下限値を掛け合わせると60億円となります。
 ここからいえるのは、米子市では、自動車の保有率を抑制すれば年間60億円以上の生活コストを節約できるということです。60億円という数字は、米子市の土木費51億円(2013年度)を大きく上回ります。
 自動車の保有率を抑制すれば、年間60億円以上の生活費の余裕ができ、駐車場スペースの有効活用の余地が生まれ、エコや健康にも貢献する。こうしたことを前向きに検討していくことが、地方創生に求められています。