中心市街地を復活させた商店街オヤジパワー(北海道富良野市)

 琵琶湖湖畔にある滋賀県最大のショッピングモール「ピエリ守山」が廃墟のような状態になり話題になっています。200店舗あったテナントのほとんどが撤退するという異常事態は、単なる物販では集客が難しい現代のマーケティング事情を物語っています。
 今は、顧客がほしいものではなく、したいことを提供する、感動体験の提供が求められています。そこで参考にしたいのが、富良野市フラノマルシェです。フラノマルシェは、病院跡地に道内屈指の大型スーパーを誘致する案の代わりに、地域住民が本当にやりたいことをやろうというコンセプトのもとに、地元の業者が出店して作ったマルシェ(市場)です。この複合商業施設により、人口2万4,000人の富良野市は、3年間で200万人の利用者を呼び込むことに成功しました(西本伸顕『フラノマルシェの奇跡』学芸出版社)。
 フラノマルシェには、地元の業者が協力して、農産物直売、土産物、喫茶、ハンバーガー、饅頭・混ぜアイス、揚げ餃子、人形焼き、ジェラートの店が入っています。富良野らしさを体験できる場所として、富良野の食文化の発信拠点を創るという狙いがあります。
 仕掛け人は、責任世代を自称する5人の熱血オヤジ(商工会議所会頭、野菜商社社長、IT関連会社社長、市役所農業委員会事務局長、まちづくりコンサルタント)です。地域の力を結集すれば、大型ショッピングモール以上にできることがある。民が主導したまちづくりの成功事例として、多くの商店街の参考になるでしょう。