コロナ禍が障害となって、多くの企業が営業不振に陥っています。そんな中、新たな発想でコロナ禍を乗り切ろうと事業の革新に挑戦している中小企業が香川県琴平町にあります。観光バス事業を営む琴平バス(株)です(『日本公庫つなぐ』22号)。
同社はコロナ禍で落ち込んだ観光バス事業を立て直すため、2020年5月からオンラインバスツアーを始めました。参加者には当日のバスツアーの模様を実況中継し、事前に送っておいた昼食をお昼に食べ、選んだ土産物を発送するという形で、自宅にいながらバスツアーを体験できるようにしました。本来なら丸一日かかる旅が2時間で楽しめる手軽さがシニア層に喜ばれ、オンラインバスツアーは即完売の状態になりました。
オンラインツアーは、コロナ禍でリアルのツアーに参加できない常連客とのつながりを保てること、これまで対象外としていた遠隔地(東北や南九州)にまで観光エリアを広げられること、海外の居住者、障害のある人や介護が必要な人にまで客層を広げられること、など多くのメリットがあることがわかりました。同社は、オンラインツアーで開拓した顧客層をリアルのツアーにも呼び込みたいと意欲的です。