ブレンド米の魅力で新規客を獲得した米穀店(愛知県岡崎市)

 米の消費量が年々減少し、まちの米穀店に逆風が吹き続く中、顧客の好みに合わせてブレンドした米を売ることで活路を開いた老舗米穀店が岡崎市にあります。(株)渡辺米穀店です(日本政策金融公庫調査月報No.164 P32-33「常識破りの米穀店が見据える未来」)。

 同社は1914年創業の老舗米穀店ですが、4代目社長に就任した渡邊正明さんが、縮小する需要と量販店との競合に危機感を持ち、オカビズ(岡崎ビジネスサポートセンター)に販売促進を相談したところ、「五ツ星お米マイスター」の資格を持つ社長のブレンド技術でオーダーメイドのブレンド米を作って販路を開拓することを提案されました。

ブレンド米=粗悪品」というマイナスイメージを覆すアイデアにチャンスを感じた渡邊社長は、2017年にお米のBarサービスを始め、ブログを開設してブレンド米の魅力を発信しました。全国から取り寄せた80種類の米から顧客の好みの硬さ、甘み、粘り、大きさ、おかずの味付けの濃さに合わせて2~3種類を選び、調合して理想のブレンド米を作り上げるサービスです。

 このブレンド米の販売により、売上の4割を個人客が占めるようになり、コロナ禍でも個人客向けの売上はコロナ前と同じ水準を維持しています。さらに販路を拡大するため、キャンプ専用米や、非常食用の真空パック、贈答用の「天下泰平米」(47都道府県の米をブレンド)なども売り出しました。

 ブレンド米のイメージを逆転させるサービスで新たな顧客を開拓した同社の取り組みは、成熟した業界でも知恵と工夫で活路を開ける事例として、勇気を与えてくれます。