資本コストで撤退ラインを見極める(by忽那憲治)

 アフターコロナにおける企業経営を考える時、日本の経営者にはパラダイムチェンジが必要です。収益率を厳しく見て撤退を判断する事業展開への転換です。

 「国際的に日本の廃業率は低く企業の生存率は高いが、その代わり中小企業の低収益性が際立っている。資本コストを経済的価値創出のために意識すべき」と、忽那憲治神戸大学教授は指摘します(忽那憲治「経済的価値創出の目線を資本コストに設定せよ」『日本公庫つなぐ』21号)。儲からない事業を無理にがんばって継続するため、廃業率が低くとどまり新陳代謝が進まないということです。日本の企業が撤退ラインを見誤っているという重要な指摘です。

 「見切り千両」と言われるように、儲からない事業については早めに見切りをつけて、次の新事業に向かうことで環境変化への適応が促され、高い収益率を維持できます。日本の中小企業の生産性は低いと言われますが、低収益事業へのこだわりが生産性を低くとどめている可能性が大きいでしょう。

 資本コスト以上の価値を生み出せるのかを冷静にみて、事業を正しい方向へ展開していくことが、アフターコロナにおいては求められます。