第一次安倍内閣(2006〜2007年)では、日本が目指すべきビジョンとして「美しい国」が掲げられていました。
ここでいう「美しい国」とは「文化、伝統、自然、歴史を大切にする国」「自由な社会を基本とし、規律を知る、凛とした国」「未来へ向かって成長するエネルギーを持ち続ける国」「世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのある国」のことです。高邁な理念を網羅的に語ってしまったため、目標としてはわかりにくかったかもしれません。しかし「美しい国」というキーワードは、日本のビジョンを考えるうえで重要だと思います。
美しさとはバランスが取れた状態のことを指します。今の日本は、人口の3分の1を占める60歳以上の層や、ガラスの天井に抑え込まれている女性層が働く場を思うように与えられず、結果として国全体の生産性を低下させています。日本を復活させる鍵は、ミドル世代男性に頼った経済から、ミドル男性層、シニア層、女性層がバランスを取りながら生産と消費を循環させていく三極調和型経済へと転換していくことでしょう。
全員参加で活力ある経済社会を作り上げていく。これこそが「美しい国」を目指すことの本当の意味だと思います。