高1女子が世界を巻き込んで切り拓く未来

 今年度の日本政策金融公庫の高校生ビジコンの優勝者は高1女子でした。そのプランは「東南アジアや中東・アフリカなどの女性が日本の企業からサポートを受け無償でITスキルと日本語を学べる寮を開設し、就業を支援するサービス」というものです。既にインドネシアのバンドンに第1号の寮を開設することが決まっています。世界の女性社会格差問題と日本のIT人材不足を同時に解決する点が評価されて、優勝しました。

 高1という若さでこれだけ壮大なプランを実現しようと動いている熱量には圧倒されます。本人がインドネシアで暮らした経験があり、その中で感じた女性たちの苦しみを何とか解決したいという想いが、多くの共感を生みました。審査員8名中5名いた女性たちもこのプランに共感し、実際に応援したいと非常に前向きでした。

 今回のビジコンからは、日本の国内問題を解決するには外国との連携も必要であり、女性がそのカギを握るという教訓が得られました。若い女性のパッションとエネルギーが明るい未来を切り拓く。すばらしいビジョンを与えてくれる大会でした。

国内最大級の高校生ビジコンの優勝者は高1女子

 本日、東京大学伊藤謝恩ホールで、日本政策金融公庫主催の「高校生ビジネスプラン・グランプリ」最終審査会が開催され、ファイナリスト10組による若さあふれるプレゼンテーションが行われました。冒頭で岸田総理のビデオメッセージが披露され、スタートアップ支援策として同イベントがいかに期待されているかが総理の口から述べられました。

 最終選考に残った10組は、女性チーム5組、男女混成チーム3組、男性チーム2組と、女性の参加が圧倒的に多いことが目を引きました。

 グランプリは田園調布学園高等部(外国人女性の就労支援)、準グランプリは栄東高校(廃棄食材の再利用)、審査員特別賞は横浜市立南高校(CO2削減対策)、静岡県立伊豆伊東高校(ヤングケアラー支援)、東京学芸大学附属国際中等教育学校(訪日外国人支援)が受賞しました。

 いずれのビジネスプランも「持続可能なまちづくり」という社会のニーズを敏感に捉えており、内容が練り込まれ、プレゼンも超高校級でした。優勝したプランは、高校1年生の女子が考えたものです。起業のマインドとレベルが上がっていることを感じます。

 受賞した5校のプランはすべて事業化段階に入っており、手応えをつかんでいました。3校が女性チーム、1校が男女混成チーム、1校が男性チームでした。女性が主導して新しいビジネスが生まれる流れが、高校生の世代では常識になったかもしれません。日本の未来に光が見える、すばらしいコンテストでした。

本への熱愛をビジネスプランにして輝いた高校生

 12/26に神戸市で、兵庫県内の高校生によるビジネスプラン発表会が開催されました。日本政策金融公庫兵庫県神戸市が主催し、神戸財務事務所尼崎商工会議所が後援したイベントです。

 登壇したのは武庫荘総合高校、甲南高校、加古川東高校、西宮高校、芦屋高校、伊川谷北高校、長田高校、相生産業高校、須磨学園高校の生徒たちです。

 発表したプランは、外国人への生活支援、学生への食事支援、地元産靴下のブランド化、移動古本屋、押し活カフェ、途上国との教育交流、赤字鉄道の利用向上策、自主制作音楽の普及策です。いずれも「持続可能なまちづくり」を目指す若者たちの熱のこもったものでした。

 特に熱かったのが、移動古本屋のプランです。車で移動しながら販売する古本屋事業ですが、観客の目を引いたのは、発表者の本に対する底知れない愛情です。「読んだ人の想いが込もった古本は、絶対に捨ててはいけない。その人の想いを次の読者に何としてでも伝えなければ」という心の叫びが聞こえる、迫力あるプランでした。人をつないで価値を生み出すビジネスの神髄が垣間見えました。

 阪神淡路地域を襲った震災からしっかり立ち直り、コロナ禍も乗り越えて、若者たちの起業家熱で兵庫県は熱くなっている。そう思えるすばらしい発表会でした。

不登校児支援に燃える高専女子が5,000件の壁を突破

 不登校の子どもたちの居場所を何とかして作りたい。そんな女子高専生の熱い思いが、全国に届きました。

 高知工業専門学校の女子学生2人が作ったビジネスプランが、国内最大の高校生ビジコンである日本政策金融公庫のビジネスプラン・グランプリベスト20に入賞しました。応募5,014件という大激戦を勝ち抜いての快挙です。

 入賞したのは「リサイクルショップの設備や商品や売上を使って、子どもたちが自由にやりたいことを見つけられる場所(サードプレイス)を作る」プランです。プランを作成した女子学生は、不登校の子どもたちを支援する学生団体を立ち上げて活動していましたが、運営費の捻出に苦労していました。どうしたら活動を続けられるかと考えた末の結論が、ビジネスとして成り立たせることです。

 子どもたちの居場所をつくるためのビジネスという観点で思案を重ね、考案したプランが「ボクの居場所はリサイクルショップ」です。リサイクルショップの営業と、子どもたちの遊び・学びを重ね合わせて持続可能なビジネスとしていく。恵まれない幼少期を過ごした自分のような子どもたちを幸せにしたいと練り上げたプランが、大激戦の壁を突破しました。

 最終選考には残りませんでしたが、地元のマスコミに大きく取り上げられたことで、本プランは県民の心に残りました。今後、多くのサポーターが現れることでしょう。

 「持続可能なまちづくり」に燃える若者たちの想いが、地域を少しずつ動かしていく。日本の未来を明るく照らす、すばらしい事例だと思います。

南九州の起業家熱を全国に発信する高校生の生プレゼン

 12/25(13:00~16:00)に、熊本市くまもと森都心プラザホールで開かれる高校生のビジネスプラン発表会YouTubeでライブ配信されます。

 出場するのは、南九州の高校(熊本市立必由館高校、熊本県立上天草高校、鹿児島修学館高校、宮崎県立日南振徳高校、屋久島おおぞら高校、熊本県立東稜高校、鹿児島県立市来農芸高校、熊本県立鹿本高校)の生徒たちです。

 発表するプランは、地元を元気にしたいという目線で考えられた、食品ロス対策、空き家対策、SDGsプロジェクト、髪に優しいヘアゴム、屋久島の地域資源活用、空き家の転用策、温暖化を活かしたコオロギ飼育、山鹿原産ティーです。いずれも若者たちの創意あふれるすばらしいプランです。

 本発表会は、日本政策金融公庫と熊本市が主催し、熊本県・宮崎県・鹿児島県の教育委員会熊本大学崇城大学が後援しています。若者の起業熱が大きく育ってほしいという地元の期待がうかがえます。

 入場無料ですのでお気軽にご来場いただけますし、YouTubeでも視聴できます。ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。

女性の女性による女性のための高校生ビジコンが盛り上がる

 日本政策金融公庫の高校生ビジネスプラン・グランプリのファイナリスト10組が選ばれ、1/7に東京大学で開催される最終審査会に臨むこととなりました(11/29発表)。

 高校生の学習支援、地球温暖化対策、ゼロエミッション、インバウンド推進、外国人労働者支援、バイオ燃料開発、ヤングケアラー支援、離島振興、廃材活用教育、高齢者のDX適応をテーマにしたプランが選出されました。今年も社会課題の解決に向けた高い意識がうかがえます。同ビジコンの最近のトレンドを反映して女子高生のチーム・個人が多く選ばれていますが、女性の台頭はファイナリストだけにとどまりません。

 今回の最終審査会は審査員8名中5名が女性というメンバー構成となりました。さらに特別講演では(株)マクアケの坊垣佳奈取締役が講師となり、高校生に挑戦と応援の大切さを伝えます。

 「女性の、女性による、女性のための」高校生ビジコンとなった今大会は、女性が主役となるこれからの日本の針路を指し示しています。過去最大の応募数5,014の頂点を決める大会にふさわしい盛り上がりが期待されます。

早稲田大学も起業家教育を推進するために高校生ビジコン開催

 10/25、早稲田大学が附属校・系列校の高校生を対象にしたビジネスプランコンテストを開催すると発表しました。応募期間は12/6~12で12/19に結果が発表されます。最優秀賞、優秀賞、審査員特別賞の受賞者には、12/26にSHIBUYA QWSで開催される「高校生がやってみた!アントレプレナーシッププログラム成果報告会ピッチコンテスト」(早稲田大学等5大学主催)への出場権が与えられます。

 12/27には、全国の高校教員(25名程度)を集めてアントレプレナーシップ教育の研修も行われます。

 これらは、文部科学省が高校生への起業家教育の拡大のために「EDGE-PRIME Initiative」事業を立ち上げたことを受けてのことです。早稲田大学の高校生ビジコンには日本政策金融公庫も協力します。

 国を挙げてスタートアップ輩出を推進する流れが加速しています。これからもたくさんの動きが出てくるでしょう。