中小企業は体力を超える借金に注意

 コロナショック対策として中小企業の年度末の資金繰り支援を政府が強力に推し進めたことで、各地にさまざまな融資制度が創設されています。かつてないほど中小企業は融資を受けやすくなっていますが、注意してほしいのは借り過ぎることです。企業体力を超えて融資を受けても、目先の資金繰りを凌いだ後が持ちません。
 (卸売業や不動産賃貸業を除く)一般的な業種の借入の限界は、月商の4倍、あるいは年商の3分の1といわれます。これを上回る借入金のある企業は、ニューマネーを導入することは控え、借入金の返済猶予を金融機関と交渉することが賢明です。最近、企業倒産が増加しているのは、過大な負債に耐えきれず、息切れする企業が増えていることを反映しています(2019年の全国企業倒産件数はリーマンショック以来11年ぶり増加東京商工リサーチ発表)。
 借入は返済義務が伴いますから、経営の負担になります。借入れした以上の利益を上げられなければ、経営を苦しくしてしまいます。「ご利用は計画的に。借り過ぎに注意しましょう」という某金融機関の注意は本当です。融資金は適量であれば薬になりますが、適量を過ぎると毒になります。自社の経営の健全性を保つことに必要なのは借入なのか返済猶予なのかを考えていただきたいと思います。