失敗を価値とするバリューイノベーション

 我が国の開業率の低さをみると、若者たちが失敗したくないと考えていることが如実にわかります。これには、学校教育のあり方が影響していると思います。
 正解が一つしかなく、それ以外は間違いであると教えられれば、一つだけの正解を追い求めることになるでしょう。幸せな人生は一つしかなく、それだけを追い求めればよいと考えてしまう。これでは人生が息苦しくなり、生きにくくなるのは当然です。若者たちを包み込んでいる閉塞感の正体はこれだと思います。
 社会は、いろいろな人がいて、いろいろなことを考えて、いろいろなことを行うことで成り立っています。こうした多様性が社会の真実であることを教えて、いろいろな生き方があることが正解であり、自分が進む道は自分が選ぶのだと学校で学ぶことが大事なのだと思います。
 いろいろな生き方があるということは、失敗も一つの道だということです。その道を通って最後に成功すれば、失敗は役に立つ失敗となります。失敗にも価値がある。こうしたバリューイノベーションを起こすことが我が国に求められています。