山陰創生に向けた課題(日本銀行松江支店・鳥取事務所)

 「山陰経済の課題は生産性の低さにあり、その解決には金融機関の情報生産機能の強化が重要」と主張する日本銀行松江支店鳥取事務所の論文が12月26日、発表されました(日本銀行松江支店鳥取事務所山陰創生に向けた課題−生産性の改善と金融機関の役割』)。
 同論文では、興味深い主張が述べられています。
・山陰における人口の社会減の原因は、労働生産性が都市圏に比べ低いことにある。
・山陰企業の技術進歩の遅れが低賃金を引き起こし、人口の社会減をもたらしている。
・山陰では小規模企業のウェイトが高いため、イノベーションの取組が少ない。
・山陰で技術進歩水準が低いのは、経済の新陳代謝が活発でないことも影響している。
・地元密着型の非製造業の生産性を引上げ、経済の新陳代謝を改善する必要がある。
・金融機関はデット・ガバナンスを強化して、経済の新陳代謝を促していく余地がある。
・金融機関が積極的にイノベーションに取組んでいくことが地域経済の活性化につながる。
・人口流出により人口が減少するから地域の生産性が低くなる側面もある。
・賃金水準の面で魅力ある雇用の受け皿を作るために、企業、金融機関、地方自治体などオール山陰で問題解決にあたらなければならない。
 山陰経済の課題を的確に指摘した優れた論文です。ぜひ多くの方に読んでほしいと思います。